豚と私 私と豚

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私という男は別段、美食に興味があるという訳ではない。 ただ「食べる」という行為が好きなだけの好食漢なのである。 顔を知るものは、私の事を食いしん坊であるとか食い意地の張った薄汚い豚とか言う。 しかしこれが不幸か幸いか私がこの「豚」であることで多くの美味い飯、甘味と出会えていることは否めない。 食というものは衣食住という言葉にあるように人間にはなくてはならないものである。 それが好きな私と豚はまぁある意味欲望に正直なのであろう。 豚は鼻がいい。 茸を採る時に伴われたりする。 そう考えると豚は便利なものである。鼻はいいし頭もいいという。 さらに綺麗好きでありこの点はそこらに糞ションベンを垂れ流し何食わぬ顔で闊歩する犬畜生より優秀であることは言うまでもあるまい。おまけに食える。 これでは犬より重宝である。 まま犬に豚が取って代わったら今より豚は愛玩動物とやらの地位を確立するのではあろうが。 そうなれば食うことはできんなぁ、と残念そうにする私であった。
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