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「……叶わない恋なら、すぐに諦めてしまえば良い」
結末がわかりきった恋なんて、時間の無駄だし馬鹿げている。とものことだから、きっとすぐに新しい女の子と仲良くなれるんじゃないだろうか。
「そうだね。諦められたら、今よりもずっと……楽になれるのに――――……」
好きでもない相手からの一方的な想いは、迷惑以外の何ものでもない。
お互いが、同じ種類、同じ強さの感情を抱き合ってこそ、境界線を越えられる。
「でも……、どんなに忘れようと努力しても、その人の笑顔を見てしまったら……振り出しに戻されちゃう」
「可能性の無い相手に、どうしてそこまで執着出来るのかわからない」
「いつか、加藤にもわかる日が来るよ。ある瞬間、ふと気付くんだ。心が支配されていることに。世界がその人を中心に回り始めてしまって、自分では、もう、どうしようもなくて……従属するしかなくて…………」
「世界の中心がずれる感覚はわかる。そう思えた相手なら……一人だけいた、から」
どうしても忘れられなかった。
ただ体育館の天井を仰いだ男子生徒に、心を奪われた。
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