忘れていた事と予想外の出来事

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忘れていた事と予想外の出来事

さて、あの人生の分岐の日から10日が過ぎ去り、今や俺は新人のアイドルとなった。 流石に早すぎだろうと思うだろうが俺自身がそう感じているのだから仕方がない。 初めてのオーディションを受けたときからトントン拍子に事が進み、いつの間にか人気を集めるようになってしまった。 「おお、海斗くん! 明日は予定が入っていないのだろう? たまには羽を伸ばして、ゆっくりするといい!」 昨日、高木社長に言われて今日はゆっくりとするつもりだった。 「…………どうする………どうする!」 この日、俺は大人しく家で休んでいればよかったと、酷く後悔することになった。 「……久しぶりの街だな…」 時刻は8時過ぎ。 俺は適当な変装をして街に出掛けていた。 「……と、出掛けてみたはいいけど、 何するかねぇ?」 今では仕事の忙しさからはあの3人を思い出す日が少なくなっている。 まぁこれについては良いことであると思いたい。 「………ゲームセンター…か」 ふと足を止めた場所には小規模のゲームセンターがあり、俺は何かに誘われるように入店していった。 中には懐かしい物から最新の物まで揃っており、とても小規模の店舗とは思えなかった。 「やだぁ!!!」 「離してください!!」 …世間は狭いと言うが、こういう事を言うのだろうか? 「俺らと一緒に遊ぼうぜ?」 「そーそー、こんな雑魚ほっといてよぉ」 不良にしか見えないのが二人、 その足元にうつ伏せで床とキスしている神野修斗。 そして今にも何処かへ連れていかれそうな穂乃果達3人。 「………ださ」 俺は3人よりも先に神野に視線が行き、余りの無様さに思わず呟いてしまった。 「あ? おいテメェ、何か言ったか?」 不良の一人がこちらに気がつき、詰め寄ってきた。 「何とか言ったらどうなんだよコラ?」 「…何とか」 「馬鹿にしてんのかテメェ!」 何だよ、言われたことに従ってやったのに… 不良は俺の胸ぐらを掴み、引き寄せる。 「ほい」 それと同時に左手で腕を掴み、 右手を不良の顎下に添えて押し込む。 「うおぁ?!」 不良はなすすべもなく簡単には倒される。 じたばたともがくものの、首筋に置かれた俺の右手が喉仏を掴んでおり、 直ぐに大人しく………と言うより恐怖が顔に滲み出ている。
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