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「かっちゃん!コノヤロゥ!!」
もう一人の不良が助走をつけ、俺に向かって飛び蹴りをしてきた。
「よっこい……しょ!」
足の裏に空いた手を添えて強めに上にカチ上げる。
不良は空中で回転し、地面に叩きつけられた。
一人は固まったまま動かず、
もう一人は背中を押さえて呻いている。
「…………やれやれ…」
俺は二人の襟首を掴んで引きずり、
店の外に放り出した。
「これに懲りたら無理なナンパは控えるように」
「わ、わわわ分かった!」
「よし、行ってよーし」
俺はしっしと手を振る。
不良達はフラフラしながら路地裏に消えていった。
「ふむ、帰るか?」
俺は店に入り直さず、そのまま帰宅しようと考えたがそれは叶わなかった。
「あの!ありがとうございました!」
「っ!…………………お疲れ」
店から出てきたことりが俺にお礼を言ってきて、急なことにビクッとしたがそのまま歩き始める。
「あ………待ってください!」
「待たない、帰る」
「ぇう…でもお礼を……」
「いらない。俺は忙しいの」
何とか引き留めようとしてくるが、これ以上一緒にいるとボロが出そうなので早々に足を早めた
「忙しい方がゲームセンターに来るのですか?」
がまたもや止められた。
振り替えると息を切らした海未がことりの隣に立ち、こちらを見ていた。
「……はぁ……お礼は要らない。
さっさと戻って意気がって返り討ちにあった彼氏を介抱してやったらどうだ?」
「なっ!?か…カレ……////」
「うぅ………////」
二人して赤くなりやがる。
て言うかあのヤローは二股掛けてんじゃねぇだろうな?
「じゃあな」
「待って!名前教えてよ!」
リリなのかコノヤロウ……
「大谷権之助」
「へぇー、珍しい名前ですね」
信じるなよバカ娘。
「穂乃果、気づいてくださいよ…」
「穂乃可ちゃん……」
「え?どしたの?」
わからない様子の穂乃果に呆れることりと海未。
「……はぁ……」
取り敢えずこれ以上この3人と同じ空間にいたくない気持ちが強まり、早々に…と言うより走り出した。
「あー!逃げた!」
逃げてねぇよ!
話したくないからお家に帰るだけだ!
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