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「ん?送っていくよ?
また教われでもしたら良くないからね」
「いえ、結構です。
もう家は近いので」
「そうかい?
なら……」
ファサ…
男は上着を脱いで俺にかける。
「そんな格好では風邪をひいてしまう。
僕はそんなことを見過ごすことはできないからね」
何だ何だよ何ですかぁ!
そんなことしてもドキドキしないからね?!
「…ありがとうございます。
後日洗ってお返ししますから」
「あぁ、それはあげるよ。
今日君と出会った記念ってやつさ☆ミ」
ウインクするな。
ポーズキメるな。
しゃべり方直せ。
「…では、私はこれで…」
「あぁ、じゃあまたね!チャオ☆」
……疲れた…どっと疲れた…。
俺はすぐに家に帰り、風呂に入った。
お湯を被った瞬間に男に戻り、これが呪いであると言うことを確信した。
それと同時に特典のことを思い出す。
「……この世界で巧く生きていける力…」
…成る程、巧く。
世の中の芸能人や社長関連のお偉いさんが持つ才能。
その全てを司るような力だ。
「呪いがこれで助かったのかもしれないな」
水で女に、お湯で男に。
もし現場やスタジオで水を被ったら最悪だよな…。
この先に今日みたいな事がないように十分注意することを胸に刻み、今日は早いながらも就寝することにした。
…そう言えばあの3人はどうなったんだろ?
おまけであの男の名前何だっけ?
「うーん、声が似てたからそうだと思ったんだけどなぁ」
「何に似てたんですか?穂乃果」
「最近の大人気アイドルのカイって人なんだけど…」
「カイ?」
「私知ってるよ。
10日前位からデビューして凄い人気集めてる男の子だよね?」
「そう!
それでさっきの娘がその人の声に似てる気がしたからって……ほら、変装してたしさ!」
「確かに…しかし、私達と同い年くらいの女の子でしたよね?」
「うん、だから勘違いだったみたい」
「でも、あの娘凄く可愛かったよね!
何処かのアイドルかな?」
「うーん……見たことないんだよねぇ。
修斗君は何か知ってる?」
「……え?
ごめん、聞いてなかった。
何だっけ?」
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