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二日後、俺は高木社長より、承諾の返事を快く貰い、件のキャンプ場へとバスで向かっている。
正直これ程気まずく、更には腹のたつことはないと思う。
「………こっち見んなや」
(コノヤロウ……)
二日前の教室で同班として紹介された相川という生徒。
バスで隣になり、俺と彼の間は何かいるのかと思えるほど開いている。
「……はぁ」
(ため息つきたいのはこっちだよ!)
俺に聞こえるほどのため息をつきやがったこいつは肘持たれに頬杖をついてさも憂鬱な顔をしている。
(………………早く着かねぇかなぁ)
出発から約二時間。
やっとの思いで到着した俺達は先生の話を聞き、今日のスケジュールを確認する。
夕方には夕食を各班で作る。
それまでは班ごとに別れて風景画を書くのだそうだ。
「お前はそこらの草でも描いてろよ」
「あははは!」
同じ班の相川含む吉野、北口は俺を放置するつもりのようで固まって何処かへ行ってしまった。
「やれやれ……」
俺はその場へ座り込み、スケッチを開く。
こう言ってはなんだが、俺は何をやるにも不得手は無いと自負している。
「あれでいいか」
俺は少し見栄えの良い景色を見つけ、そこを描き始めた。
集合時間15分前。
「そろそろ来ないと飯が作れないんだかな…」
俺は更に20分前に絵画を終わらせて集合場所へと戻ってきていた。
暫くすると話し声が聞こえてくる。
「アイツまだ描いてんのかな?」
「そりゃそーだろ?あんな陰険な………うわ」
戻ってきた相川達が俺を見るなり嫌そうな顔をする。
「チッ、食材貰いにいこうぜ」
「えぇ、そうしましょ」
「アイツには手伝わせたくねぇよなー」
(好き勝手言いやがって……)
「働かざる者ってやつ?」
「相川君あったまいー」
今時では知れ渡っている諺を並べて得意気にする相川とそれを誉める北口と吉野。
「…やれやれ……」
本日2度目のやれやれを口にして、
俺はゆっくりと後に着いていった。
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