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「どうしたらこうなるのか………」
食材を取りに行った後、調理へと取り組んだ3人だが、その行程は余りにも酷かった。
メニューはカレーなのだが、
出来上がったそれは………まぁ斬新と言えば聞こえは良い。
しかしあり得ない。
昨今の高校生はカレーさえもまともに作れないとは思いもしなかった。
終いには…
「おい、これ全部処理しとけよ」
「あたしら他の班のとこ行ってくるからさぁ」
等と言って去っていってしまった。
大方お裾分けでもたかりに行ったのだと思われる。
「……はぁ」
俺の目の前にはカレー?が鍋に入れられたまま放置されている。
「…皮は向いてない、水の量を間違えている、ルーも溶けきってない、野菜はおろか、肉にまで火が通ってない。
アイツらあり得んだろ……
特に北口は女だろうが…」
俺は鍋を火からはずし、
別の鍋にザルを通してあける。
これで野菜類とルーは別になり、
改善がしやすくなるというものだ。
「さてと、まずは…」
取り出した野菜についたルーを水で洗い流す。
次に洗い終わった野菜をみじん切りにして細かくする。
別にしたルーを鍋にも度し、水を適量で加えて加熱。
肉を多少直火で炙ってからみじん切りにした野菜と一緒に投入。
それから俺は鞄からスパイスを取り出して適量に投入する。
…………………………煮込んでから3分。
土台は出来ていたため、そこまでの時間はかからずに食事にありつける。
っと、そこで…
「何か用か?」
後ろの木からこちらを見ていた生徒、葛西に声をかけてやる。
「なっ?!き、気づいてたのかよ…」
渋々と行った感じでこちらにくる葛西はその手にスプーンを持っていた。
「……そのスプーンは何だ」
「あ、これか?
班で作ったカレーは食ったんだけど足りなくてよ……どっかの班で余ってねぇかなって思ったら…」
「俺が一人で作ってたのを見つけた…と」
「…ああ」
…まぁ残飯残して去っていったアイツらに比べたら十分にまともだろうな。
「…食ってくか?」
「……良いのか!?
いやー!他とは全く違った香りがするからさ!食ってみたかったんだよ!」
…こいつ転入初日の事、頭から抜けてんじゃねぇだろうな…ってか抜けてんだろ。
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