第一話 吹き流し

6/6
前へ
/17ページ
次へ
吹き飛ばされそうになり、咄嗟に帽子を押さえた父親の耳に、 「あっ」と我が子の声が聞こえた。 振り向くと、目の前を吹き流しが通り過ぎていった。 その口元からは、見覚えのある小さな手が覗いていた。 音を立てて流れる風の中を吹き流しはひらひらと泳いでいき、 やがて雲に隠れて見えなくなった。                      (第一話 完)
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加