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序章
穏やかな日差し、小鳥がさえずる季節。
サリフモワ家の庭は酔いしれるほどの薔薇の香りに包まれていた。
「こんな日には妖精が遊びに来てるわね、きっと」
ネウラは咲き誇る薔薇を眩しそうに見つめながら一株一株丁寧に手入れをしている。
薔薇の香りを胸に吸い込むと、本当に自分は神に生かされてと感じる。
「さあ、そろそろ子ども達が帰る時間だわ」
ネウラはエプロンを外すと子ども達を迎えに家の前の通りに出掛けて行った。
送迎バスから子ども達を受け取ると、そこへ自転車に乗ってネウラの妹テーミスが帰ってきた。
2人の子ども達は一斉に
「テーミス!」
と声を上げながらテーミスに近づいて行った。
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