side 愁也

2/3
前へ
/36ページ
次へ
これが、八年前弟を見捨てた事への罪ならば重すぎる。 なんで自分ばかり、こんな目に合うんだ。 他人の性癖なんてどうでも良いと思っていた。 吉村なんて男にも女にも手を出して修羅場ってた。 ――自分に被害さえなければ。 なのに俺は、ピンク色のルージュをつけられ、金髪の肩まで伸びるヴィッグをつけられ、……ヒラヒラしたフリルのドレスを着せられている。 悪夢だ。 吐き気がする。 壁に埋め込まれた鏡で、その姿は必ず視界に入ってくる。 確かにそれほど筋肉もつかないし、女みたいな顔付きかもしれないが。 肩幅や喉仏、柔らかみのない身体は女の服には似合わないだろ。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加