8話 7日目 忘却

2/14
159人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
目を覚ますと、頭がボーッとして意識がはっきりしなかった。 薬品の匂いが立ち込めて、機械音もする。 此処がどこなのか。 何をしていたのか。 何も思い出せず、天井を見上げてただ瞬きをする。 「渉!! 渉!!」 興奮した声で意識が手繰り寄せるように頭に入って来る。 「吉村くん、先生を、先生を呼んでくれ!」 「……じゃあその握ってるナースコール押してよ」 呆れた声には聞き覚えがあった。 「……私が誰か分かるかい? ――渉」 そう涙声で俺を覗き込むのは。 「父さん?」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!