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目を覚ますと、頭がボーッとして意識がはっきりしなかった。
薬品の匂いが立ち込めて、機械音もする。
此処がどこなのか。
何をしていたのか。
何も思い出せず、天井を見上げてただ瞬きをする。
「渉!! 渉!!」
興奮した声で意識が手繰り寄せるように頭に入って来る。
「吉村くん、先生を、先生を呼んでくれ!」
「……じゃあその握ってるナースコール押してよ」
呆れた声には聞き覚えがあった。
「……私が誰か分かるかい? ――渉」
そう涙声で俺を覗き込むのは。
「父さん?」
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