第1章

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意地でも会話に参加しないらしい。テレビを見ていないでちゃんとなさい、と注意をしたおばさんの注意にも兵藤は適当に返事をして知らんふりだ。 だが、俺が食べ終わる頃になると兵藤はチラチラとリビングの時計を確認して物言いたげに俺の方に視線を送った。 だが、俺は気付かぬふりでおばさんにごちそう様でしたと声を掛けた。 「あらもう良いの?」 「はい、満腹なんで。本当に美味かったです。」 「将爾は何にも言ってくれないから作り甲斐がないけど坂下君は本当に清々しいくらいの食べっぷりで嬉しいわ。」 おばさんは嬉しそうにそう言うと、兵藤に向かって言った。 「デザートは上で食べるんでしょ?持っていきなさい。」 「…」
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