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「おい、どれ食うんだ?」
我が物顔で兵藤の部屋に入って前回同様ベッドにもたれながら胡坐をかき、ケーキの入った箱を開け覗き込む。
アイスコーヒーの入ったコップを俺の前に乱暴に置くと兵藤はケーキの箱を自分の方に引き寄せる。
「いい加減に喋れ。」
女がヘソを曲げたように面倒臭い兵藤に溜息を吐きながら窘めると、不貞腐れたような顔で俺を見る。
「何が気に食わねーんだ。」
「…別に。」
兵藤はフイッと視線をケーキの箱に戻してフルーツタルトを取り出すと自分の皿に乗せる。そうして、セロファンを外すと徐に手掴みして齧った。
「別にじゃねーだろうが。態度悪すぎだろ。」
俺はケーキを取る気になれずコーヒーを喉に流し込む。その間も兵藤は黙々とタルトを食べ続ける。
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