第1章

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「何がだよ?」 「坂下はこの間の事本当に誰にも言わないのか?」 兵藤にとっては死活問題らしい。だったら、酔っぱらって全裸になったり密着してこなけりゃ良いだろ。それに大体、言う気があったら既に言っている筈だ。 「兵藤、お前はもう酒飲むなよ。酒癖悪すぎだろ。」 俺は飲み干したコップをお盆に置いて立ち上がる。この話はこれで終わりだと、そう思ったのに兵藤は続いて立ち上がり俺の腕を掴む。 「交換条件は?」 「ねーよそんなもん。」 いつもは傍若無人な癖に、まるで別人のようにしつこく言質を取ろうとする兵藤に言いようのない苛立ちを感じ、俺は頭で冷静に考える事なく反射的に振り返った。 驚いて目を見開く兵藤の腰を掴んで引き寄せる。
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