第1章

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無防備に薄く開いた口に視線を落とす。 兵藤が身を捩るよりも先に俺は兵藤の後頭部を乱暴に抑えつけて唇を重ねた。抗う力を押さえつけて舌を差し込み絡めとる。逃げようとする足の間に片足を差し込んで腰を押し付けながら乱暴に口の中を蹂躙する。 最初は抵抗していた兵藤だが、息が苦しいのか腕に力が抜ける。思う存分キスを繰り返して、兵藤が足の力さえ抜けたのに気が付いて漸く唇を放す。 「な…にする」 「これで、俺も同罪だろ?だからこの間の件はもうなしだ。」 マラソンをした後のように息を切らしながら、荒い息のまま尋ねる兵藤は妙に色っぽい。その濡れた唇を見ていると下半身が重く熱くなってきて慌てて視線を逸らす。 前回の件を蒸し返さない為に今キスを仕掛けた自分の行動が阿呆すぎて今更ながらに動揺する。
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