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「おい、兵藤!」
教室の後ろのドアを開け放ち、目の端に映った兵藤の背中に向かって大声で名を呼び、相手が反応する前にサッサと教室に入り逃げる暇もなく腕を掴む。
兵藤はもちろん食事中で、向かい合わせで弁当を食っていた男が目を見張って俺を見上げる。見た事がある顔だから兵藤と部活が同じなのだろう。
兵藤も一瞬驚いて身体を強張らせたが、直ぐにポーカーフェイスに戻り俺の手を振り解いた。
「騒々しいな、何だよ一体。」
ツンと顔を逸らして冷ややかに言う兵藤が小憎たらしい。
「お前のねーちゃんからメール来たぞ。」
「…ああ、メールするって言ってたな。」
何で勝手にメールアドレス教えてるんだ、教えるくらいなら自分でメールして来いよ、もしくは今までみたいに教室に押し掛けてくれば良いだろ、と言いたい事は沢山あったが兵藤の顔を見ているとそれよりも言ってやりたい言葉が出た。
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