第1章

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やっぱり覚えていて俺を避けていやがった。 「迷惑を掛けられても掛けた覚えはないがな。で、来週の水曜日か?」 駄目出しでそう言うと、悔しそうに顔を背けながら兵藤はぶっきら棒に分かったと頷くと、用が済んだらサッサと帰ってくれと俺に言い捨てた。 いつもなら腹立たしい兵藤の態度も今の俺には清々しくさえ感じる。 「じゃあな、兵藤。」 まるで悪役のような捨て台詞だが、そんな事は知った事じゃない。俺は一矢報いた心地良い気分を味わいながら、そういえば兵藤のねーちゃんに返信しなきゃなと思った。
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