過去へと還るも似て非なる

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「――よし。行くか」 『ひと暴れしてくるぜェ』 ドローレム。雁金はこう呼ばれるアンデッドの一種のドラゴン型ゴーレムで、姿はに似る。 それ故人型になると白髪白眼と云う何とも奇妙な見た目になる訳だ。 「情斬!」 まるで身体の一部であったかの様に馴染むそれを縦にひと振りし感触を確かめる。 ――幾ら鈍っても体は忘れない……か。 ふっと自重的な笑みを伴った吐息を湿った空気に食わせ、殆ど回復した身体を解した。 「『静』」 付与(エンチャント)した情斬を今度は横にひと振りし、格子を破壊。 静は俺の認識範囲内を無音空間にする中規模作用魔法で、情斬の固有スキルの一つだ。 厳密に言えば些か語弊があるのだが、此れについては追々説明するとして。 今はまず、脱出がてらご挨拶と行く事にする。 『グルォォオオオオオ!!!!』 地を揺らす咆哮が鳴り響き、一転、場内が騒がしくなる。 「姫様をお守りしろ!!」 「侵入者だと!?一体、何がどうなってる!!警備はどうしたッ!!?」 こんな程度で取り乱すような国、姫様が手を下すまでもない。 俺が、潰してやる。
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