第4章 トンネルの中のくらげ -2-

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  「お姉ぇは脱いだら凄いって話をしてたんだけど、お兄ぃ、聞いてなかったのかい? 勿体無い事をしたね」 「ちょっ、ゆ、結菜ちゃん……っ!」 「うひゃひゃ! 浅葱ちゃん、顔真っ赤ぁー!」 「お前らなぁ……」 車窓の景色はいよいよ、空凪町を囲む山裾の広葉樹林を右から左へ運んで行く。列車は間もなく山を貫くトンネルへと入るだろう。 浅葱はともかく仮にも女の子なんだから少しは恥じらいを持ちなさい、とか何とか水母と結菜の凸凹コンビと会話のドッヂボールを繰り広げつつ、俺の頭にはふと、浅葱の部屋で見た不可解な動画がフラッシュバックしていた。 人相の見えなかった謎の宇宙服。『逆転写範囲』なる領域から外へ出てはならないという忠告と、実際に山を越えようとして不完全に機人化した青年。  
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