第4章 トンネルの中のくらげ -2-

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  「この路線、去年も赤字だったって言うからね。車両を新しくするお金が無いのさ」 「まぁ、どっか行くなら車の方が便利だもんな……」 「あ、なんちゃんも言ってたよ! 電車使うより自転車で山ひとつ越えた方が早いって!」 「それはあいつが馬鹿なだけだ」 なんちゃん、改め拝装持ち六段の南六郷剣正は、ひとつ隣の町から学校に通っている。さすがに他の街から通う生徒はみんなこの路線を使って通学するのが普通なんだけど、 『ハーッハッハァ! 毎日欠かさず山道を自転車で往復三時間! この修行が僕とお前の差をじわじわと埋めるのだ、しかも華麗に! 覚悟しておけ七城伊佐治!!』 まぁ、確かに山道で鍛えた強靭な脚力による足さばきとスタミナには一目置かざるを得ないからあながち否定はできないんだけど、間違っても華麗ではないしもっと他に鍛えるべきところがあると思うのだ。 頭とか。  
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