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「……」
水母を囲うように浅葱と結菜が腰を掛けてしまったから、俺はどうしようかと僅かに躊躇って、一番隅の席に座ろう、なんて、何にしているのかよく分からない言い訳を心の中で呟きながら浅葱の隣に腰を掛けたんだけど。
「……」
慣れているはずの沈黙が、ひりひりする。視界の端にはアサギマダラのカチューシャが、開け放たれた窓から差し込む陽光を瑠璃色に反射する。
半袖シャツから露出した俺の二の腕に、ベージュ色をしたシースルーチュニックのひらひらが僅かに触れるのもいけない。白いロングスカートの生地は夏仕様のためか非常に薄手で、どうしても触れ合ってしまう腿のあたりから、女子特有の柔らかい質感が伝播して来る。カタンカタンと座席が揺れる度、跳び上がりたいくらいのむず痒さが走り抜けるのだ。
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