第4章 トンネルの中のくらげ -2-

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  浅葱の向こうでは、結菜と水母がきゃいきゃいと雑談に興じている。話題は一昨日エオンモールで買った水着の話になっていて、 「目下ないすばでぇ筆頭は結菜先生だよねぇ。それだけ良いモノ持ってるのに一緒に行く男が実の兄だけだなんて勿体無い!」 「ふむ。私は今のところ色恋沙汰には大して興味が無いからね」 「またまたそんな事言いながらほとんど布が無いやつ選んでたじゃないですかー、って、はわっ!? こっこれはもしや禁断の何とやらあばばば……」 「そういう水母さんこそ、ずいぶん極端に露出の少ない水着ばかり選んでいたじゃないか。お兄ぃの陥落を狙うならもっと際どい奴の方が良かったんじゃないかい?」 「ふっふっふ。甘いですな結菜ちゃん。イサジみたいな『まにあっくばでぇ』好きはああいうまにあっくなのが好きなのですよ」 とか何とか水母が危険な事を叫んでいる。他に乗客がいたら席を立ってでも突っ込みに行くところだけど、幸か不幸か車両の中には俺たちしかいないのだった。 つか、どんな水着買ったんだよお前ら。  
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