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「でも、お姉ぇもこれで馬鹿にできないんだよねぇ」
「うぇえっ?」
その手の話題の矛先が他ならぬ浅葱へ向けられているのに、思わずほっと息を吐いてしまうほど、こっちの空気は張り詰めていたのだ。
何だか最近、浅葱との距離感が狂ってしまっているのは自覚していた。きっかけは幾つか心当たりがある。七城桔平なる従兄が機人化して、彼の記憶が抜け落ちてしまった事とか。直接の引き金は間違いなくテスト最終日、単身浅葱の家へお邪魔した事だと思うけど。
そういう出来事を経るうちに浅葱の事を考えるようになったのか、浅葱の事を考えていたからそういう出来事に遭遇したのか、そんな卵と鶏みたいな議論をしてみても有意義な答えは得られない。
でも間違いなく言えるのは、俺は浅葱にこんな気持ちを抱いてはいけないという事なのだ。
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