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「もうおしまい?」
どんよりとした曇り空の下、あっちゃんは前屈みになりながら外に置いてあったボードのランチメニューを下げた。
おじさんのこだわりが詰まったこのお店には、昔から時計がひとつもない。
ゆったりとした音楽が流れる中、携帯のカレンダーを開いた私はバイトのシフトを確認した。
「ヒナ、おかわりは?」
少しだけご機嫌が戻ったあっちゃんは、フォークを置いた私のお皿を気にし始める。
「うーん、もう一個」
お皿のはじっこに添えられたブルーベリーソース。
それと調和した美味しさのこのチーズタルトは、あっちゃんお手製のもの。
「仕事、増やそっかなぁ」
「今は週3と週4なんだっけ?」
「うん、そう」
仕事なんて、結婚したら辞めなきゃいけない。
その相手と予定があるうちは、自分はフリーターで十分だ。
それでも世の中には欲しいものが溢れているし、ある程度の蓄えだって必要。
お昼過ぎからこのお店に通うくらいの時間をもて余している私は、もう少し自分に厳しくしないといけなかった。
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