cafe 恋 -Vol.1

6/31
33人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
――― 「この後、飲みに行くんでしょ?」 太陽も沈みかけた夕方。 子供達の練習試合に飽きてしまった私は、当然のように大悟にそう確認する。 「おっ、いいねぇ」 クイッとおちょこを口に運ぶ仕草を見せるこの人は、あのチームにコーチとして大悟を誘った大悟の会社の先輩の島田さん。 「すみません、俺達はパスで」 その人に向かって軽く頭を下げると、大悟は私の服をグイッと引っ張る。 「えー、なんでぇ? せっかく島田さんもいいって言ってるのに」 パッとその手を払うと、わざとらしく自分の我が儘を続けた。 「そうだよ、笹原。たまにはパァーっと行こうぜ」 軽いノリでそう言うと、ポンと大悟の肩に触れた島田さん。 「いや、今日はホントすみません」 それでもイエスを言わない大悟にフラストレーションが溜まった状態の私は、ムッとしたままスニーカーの踵を引きずるように歩き出した。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!