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―――
「この後、飲みに行くんでしょ?」
太陽も沈みかけた夕方。
子供達の練習試合に飽きてしまった私は、当然のように大悟にそう確認する。
「おっ、いいねぇ」
クイッとおちょこを口に運ぶ仕草を見せるこの人は、あのチームにコーチとして大悟を誘った大悟の会社の先輩の島田さん。
「すみません、俺達はパスで」
その人に向かって軽く頭を下げると、大悟は私の服をグイッと引っ張る。
「えー、なんでぇ? せっかく島田さんもいいって言ってるのに」
パッとその手を払うと、わざとらしく自分の我が儘を続けた。
「そうだよ、笹原。たまにはパァーっと行こうぜ」
軽いノリでそう言うと、ポンと大悟の肩に触れた島田さん。
「いや、今日はホントすみません」
それでもイエスを言わない大悟にフラストレーションが溜まった状態の私は、ムッとしたままスニーカーの踵を引きずるように歩き出した。
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