cafe 恋 -Vol.1

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天井からぶらさがったレトロなランプと、棚に飾られている様々なサイズのカップ。 カウンターの奥に飾られているコーヒーミルは、おじさんが生きていた頃からずっとそこにある。 「今日、未央(みお)さんは?」 「んー、休み?」 両手に泡をつけながら、苦笑いを浮かべて質問に質問で返そうとするあっちゃん。 「あー、ケンカしたんでしょぉー」 その様子を見てピーンときた私は、カップを口につけたままニヤニヤしながらその顔を覗いた。 「や、ケンカじゃない」 都合が悪くなると目をそらすのは、昔からのあっちゃんの癖。 「じゃあなに?」 そして、こうなると意地でもその理由を訊き出したくなるのが私の性格だ。 「休暇」 さっきまでの”大人なあっちゃん”はどこにいったのか。 言葉少なめにそう返したあっちゃんにクスッと笑いが零れた。
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