愛の歌が聴こえる

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恭平が迎えに来たのは10時頃。 いつものように駅前の車寄せで私を乗車させ、早速車内で近況報告を始める。 「とりあえず、苫小牧の製紙会社と旭川の運送会社に就職が内定したよ。 でも、できるなら札幌に行くか十勝管内に戻りたいんだよなー、俺。」 本来恭平はプロのドラマーを目指していた。 そのためにはこの旭川よりも都会へ行くか、元プロドラマーである父親の傍で働きたいのだとずっと話してくれていたのだ。 「やっぱ旭商大生は就活で苦労するのかねぇ。 先輩方もみんなそうだったもんなー。」
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