1.優しい時間 

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孤独(ひとり)でいることに 慣れてしまっていたはずなのに。 僅かな年月が甘い蜜に満ちていて、 失う時が……怖すぎて。 「ほらっ。  和鬼……やっぱり……。  私、傍に居るよ。  ほらっ、触れるでしょ」 咲の手がボクの手首を掴んで 頬に触れさせる。 頬から流れる温もりは 少しずつ凍りかけた心をとかしていく。 こんなにもボクの中で 存在が大きくなりすぎてる。 ……咲……。 優しい時間は 孤独との隣り合わせ。 ボクは何処までこの時間に 溺れ続けていいんだろう。 咲が微笑む 優しい時間の中で……。
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