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「…寂しかった…」 寂しかったよ。 寂しかった。 でもね、お母さん。 いつも どんな時も 市原さんがいてくれた。 しゃくりあげる私の背中をお母さんは分厚い手のひらでゆっくりと、何度も往復してくれた。 丸まった背中からお母さんの柔らかい声が耳に届く。 「美澄ちゃん、声を聞くんだよ。耳を澄ましてごらん。彼の想いが聞こえてくるから」
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