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「海はさあ、昼間は熱くていられねえけど、夜来るのがいいんだぜ」
「…夜?」
「涼しくて、波の音がよく聞こえる。何時間でも居られちまうよ。月が出てれば最高…だ」
そこで市原さんは私の顔色を窺(ウカガ)った。
「…ワリイ」
そして謝る。
「…どうして…謝るんですか?」
「いや…なんとなく」
市原さんは視線を逸らした。
「じゃ、行くか。俺のガイドは当てになんねえけど、トキくらいは見せてやりてえし」
「あ、トキね。トキ」
「知ってんのか?」
「知ってますよ!白くてここが少し赤くって…」
「それ、ニワトリじゃねえの?」
「…バカにし過ぎ」
私たちは再びバスに乗って、市原さんの案内で島を回った。
トキの保護センターと併設された公園から、少し遠目に実物を見た時には少し感動した。
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