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「夏休みシーズンだから、海の家がやってる。かき氷でも食うか」 前を向いたままそう言って、振り返った市原さんは笑っていた。 「はい、食べます。かき氷って言ったら…レモンですよね」 「はあ?イチゴだろ!イチゴ!だいたい、レモンって、酸っぱくねえし、アレ、レモンじゃねえよ」 「…イチゴだって甘酸っぱくないじゃないですか…」 「うるさい」 「じゃあ…間を取って、ブルーハワイは?」 「…どこが間なんだよ?それに…それはやめた方がいいぜ」 「どうして?」 「お前が真っ青な唇と舌だったら…怖すぎる」 市原さんに言われて、私は自分のその姿を想像した。 「…ホントに、怖すぎる…」 「あはは。真面目に想像すんなよ。笑えるヤツ」 私たちは海を眺めながらのんびりと歩いた。 体を沈める砂の上を歩く感覚は 不安定で、おぼつかなくて 市原さんの手を握る 十分な口実になっていた。 かき氷屋さんでは、私が思っていたよりもシロップの種類が豊富で迷ってしまったけれど、私たちはイチゴのかき氷を一つ買って半分ずつ食べた。 熱を溜(タ)め込んだ私たちのカラダに 甘くて冷たいかき氷がよく染みた。
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