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諦めて俺の首に腕を回す魔王様。そう言えば名前聞いてないや。
「名前。」
何ていうの?
「我は魔王だ。名前は無い、コタロー殿が呼びたい名で呼んでくれ。」
ちょっと寂しいそうに魔王様は俯いた。
世界に魔王として作られたから魔王と言う呼び名しかないのだろう。
「ライオネル、ライ。」
昔飼っていた愛犬の名前。
品種改良の失敗作だったライはハスキーに似た姿で、ポニー位の大きさの犬だ。そう、家庭で飼うには大き過ぎたのだ。
当時研究施設に出入りしていた母が俺の為に破棄される個体を持って帰ってくれたのだ。
とても賢くいつも一緒にいたライは交通事故で死んでしまった。俺を助けて、俺の代わりに…。
魔王様はちょっとライに似ていたのだ。困り顔とかが耳を垂らして伏せているライにソックリだった。
だからライオネルという名前をあげた。
大事なパートナーだからね。
「ライオネル…。良い名だ、有り難く名乗らせて貰おう。」
ソファに降ろすとライは、はにかみながらそういった。
萌えっっ
じゃなくて…やっぱ萌え~!
ライ可愛いっ。俺幸せ!やっぱライは受けまっしぐらだ!!
「ふむ、魔力がだいぶ身体に馴染んできたな。」
ライは手をグーパーしながら頷いでいる。
そんなライを観察してみる。
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