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「あっ…。」
出オチが穴を覗いた途端全身が灰色になって固まった。その直後に重い物を引きずる様な音と、小さな震度が伝わって来た。
「なんだ、ただの人間か。」
のそりと出てきたのは青緑色の長い髪の女性。しかも見えている上半身は何も身につけていない。
「そこにも一人いるだろう?」
俺の方を向いている。でもここは岩陰だから大丈夫。
ゴルゴーンは目を合わせなければ大丈夫と言うのはデマだ。意識的に彼女が力を封じて居なければ見つめたモノ全てが石になる。
「ゴルゴーンさんで間違い無いですか?」
岩陰からは姿を表さずに問いかけてみる。多分俺は石化しないけど念のためね。
「あぁ。ゴルゴーンは私だが、人間擬きは何のようで私の家に来た?」
擬きって言われた…結構ショックだ。レアモンスターならちょっと嬉しいけど擬きはダメだよ。
「話を聞きたいから目を封じて貰えませんか?」
丁寧に言葉を選んで話かける。
「ふふ、構わないよ。出ておいで、私に臆する事なく話しかけた人間擬き。」
ズズッという音と共に再び振動が起こる。岩陰から出て見ると石化した出オチは倒れて砕けてしまっていた。
「あの、何か着てもらえません?」
だって上半身裸だもん!見ちゃらめぇ!!
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