第1章

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いよいよ私達のクラスが入場することに。 体育館に入ると、入口の両脇に保護者が座っている。 きっと、凛ちゃんの両親と雪人の両親はこの中にいるのだろうと思っていると、横で凛ちゃんが保護者席に手を振っていた。 凛ちゃんが手を振っている方に目を向けると凛ちゃんの両親がいた。 その隣にはあの厳ついガタイの雪人の父親と母親もいた。 そして、その横でなっちゃんが「雪人ぉーー!おねーちゃんだよー!」と思っ切り手を振っていたので、後ろを向くと雪人は案の定恥ずかしそうに俯いていた。 こういう時私はいつもどこか孤独感を感じてしまう。 唯一の家族である兄ちゃんは、忙しい人だし私達が暮らしていくためのバイトを私のわがままで来て欲しいなんてとても言えない。 そう少し俯き気味の私に凛ちゃんが話しかけた。 「朱音ちゃん!朱音ちゃん!洸兄ぃ来てますよ!」 「え?」 私は、凛ちゃんが指差した方向に目を向ける。 なっちゃんが思っ切り手を振っている隣に兄ちゃんが座っていた。 兄ちゃんもこちらに気づき、よっ!て感じで軽く手を上げていた。 兄ちゃん....きてくれたんだ。 私は嬉しくなり満面の笑みでその行動に答えた。
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