あとがき

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この世界は神に愛されていた それが当然であるかの様に人は生きていた その世界で巫女は地上に降りれない神を身に降ろし 代行として大陸を渡り巡礼した 選ばれた巫女は二度と故郷には帰らなかった 曰く、神の元へと行ったと伝わっている そして、今代の巫女も神降ろしを成した 其処は世界を見下ろす樹と言われる、どの樹より長い神木 巫女は祈りを捧げ神の降臨を賜う 「まさか、この姿でとは……」 やがて現れたのは一人の少女 緋き衣を身に纏う姿は禍々しくも神々しいと 不思議な感覚を覚えさせられる 「あ、あのっ……!!」 暫し見惚れていた巫女は我に返ると少女へ声を掛けた 対し、その少女は見た目の幼さに違わぬ表情のまま首を傾げる 自分が何故此処にいるのかすら分かっていないのかもしれない 「なにかな?」 「あの、その…えっと」 だがどれだけ見た目が幼かろうと 肌に感じる威圧感は本物 これが神なのだと、巫女は予め考えていた言葉を発っすることが出来ないでいた 緊張などと生易しいものではない もっと、巨大な何かの眼(まなこ)に見つめられている 蛙が天敵の蛇に睨まれた時の心境 声が震える、かと思えば体も震えている だがしかし、言わねばならぬ 巫女の勤めを果さねばならぬ 意を決し、息を吸う いざ…… 「私と旅に行きましょう!」 「……………」 降臨した際の神への挨拶の言葉 それは巫女となった瞬間から教え込まれた欠かしてはならない礼節 決して神に失礼の無いよう 堅苦しい文字の羅列は先代、先々代と昔から継がれてきた由緒あるもの 今代の巫女はそれを緊張のあまり忘れてしまった これは新米の神様と少しアホな巫女の珍道中 旅の先に待つのは一体何か ※本当に作るかは分からないので悪しからず 2015 1/20
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