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このときの挨拶をきっかけに、両親が隣へ遊びにいくとき、私も一緒に行った。そして、由美とも遊ぶようになり、次第に仲良くなっていった。お互いを
「由美ちゃん」
「翔ちゃん」
と呼び、よく一緒に遊んだ。小学から大学まで同じで、中学、高校は部活は違ったが、やはり家が隣同士というのがとても大きかった。一緒にお互いの家へ行き来して、勉強したり、お泊まり会を開いたり、誕生パーティーをしたりもした。とても楽しかった。
「私たち、最高の友達だよね?」
「うん!当たり前じゃん!」
何か楽しいイベントがあったときこの会話はいつしか、毎回交わされるようななっていた。
翔子の両親と由美の両親同士も友達のように仲が良く、家族旅行も一緒に行ったりしたのは、いい思い出である。他の家庭からみても、子供同士、両親同士、ここまで仲がいいのは血がつながっていてもなかなかないだろう。それだけに翔子はそれが誇らしくてたまらなかった。しかし、あるとき、それが突如、壊れた。
翔子が大学を卒業間近に控えた22歳の時、翔子と由美は卒業式の服装や卒業旅行の話で盛り上がっていた。
「ねー、翔ちゃん、着物はどんなの着るー?」
「んー、スーツでもいいよー、由美ちゃんがいいんだったらだけどー」
「やっぱ、おそろで着物でしょ!翔ちゃんもそれでいこう!」
「オッケー!」
「それじゃあ、卒業旅行はどこいこっか? 卒業式終わってあとだったら、どこもかも混んでいると思うから早めに予約とっておこうよっ!」
「じゃあさ、前から沖縄にいってみたかったんだー。由美ちゃんはどう?やっぱ、芸能人みたいにハワイとかにあこがれちゃってたりする?」
「まっさかー。沖縄いいね!沖縄にしよっ!」
早速、翌日に翔子と由美は旅行会社へ出向き沖縄行きのチケットを予約した。二人ともとても楽しみで仕方なかった。そして、その日、二人は卒業旅行である沖縄旅行まで待ちきれないので、その前哨戦として、翔子のお宅でお泊まり会をした。大学に忙しく、お互い軽く遊ぶ時間は多少あっても、高校時代のようにお泊まり会をすることはなかった。なので、とてもワクワクしていた。そう。そのときまでは、まだワクワクしていたのだ。
二人で遅くまで話していると、窓ガラスが割れる音が聞こえた。
「翔ちゃん、何の音だろう?」
「下へいってみよう、由美ちゃん」
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