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翔子の家は二階建てで、翔子の部屋も二階にあった。なので、二人は一階へ降りて行ったのだが、一階は何ともなかった。翔子の両親は出掛けており、翔子の家には由美と二人だけ。心細かったが、弱音ははいていられない。
「由美ちゃん、泥棒が隠れてるってありえるかな」
「うん。あり得ないって言いたいけど、万が一に備えなくちゃいけないよね」
二人とも平静を装い、笑顔を浮かべてはいるものの、その笑顔は傍目からみると、あからさまにひきつっており、何よりさっきの会話では、二人とも声がひきつっていた。
「由美ちゃん、おとうさんの部屋に行こう」
「え、なんで?」
「いいから、由美ちゃんついてきて」
翔子は由美の質問には答えず、歩いて行った。由美は後ろに警戒を怠らずにしっかりとついていった。
翔子は、父の部屋に入るとあるものを取りだし、由美へと渡した。何を渡したかというとゴルフクラブである。
「もし、泥棒でもいたら、何か持っていないと」
「うん、翔ちゃんのいうとおり。でも、いるはずないよね」
「ははは」
二人ともやはり、どんなにプラス思考で考えても先程の物音、ガラスが割れる音が気のせいではないことに気づいていた。次の瞬間、また窓ガラスが割れる音が聞こえた。
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