第1章

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由美を見なくなったのは次の日からだ。 由美の家へ行っても、誰も出て来ることなく、家にいるのかどうかすら分からない。夜になっても、由美の家へ行っても、由美の家に電気がつくことはなく、もちろん、玄関のチャイムを鳴らしても誰も出て来ることはなかった。 あとから聞いた話だが、由美の母親はどうやら軽傷で済んだらしいが、由美の父親、つまり夫から殴られたショックで気が触れてしまったらしいこと、由美の父親はあの日以来、家から姿を消してしまったことが分かった。ただ、近所の人から翔子の母親が伝聞形式で聞いた話であり、あの日以来、由美本人、由美たち家族を見掛けた者、話をした者は結局誰一人いなかった。もちろん、それは翔子も同様のことであった。
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