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あの日から二年後、翔子が社会人となり、二年目に差し掛かったときの二十四歳。翔子の職場へ一本の電話がかかってきた。
「野口さん、電話だよ。内線二番につなぐから。」
「はい、わかりました。二番ですね。」
「もしもし、お待たせしました。野口です。」
「野口翔子さんで間違いないでしょうか?」
どこかで聞き覚えのある声だった。
「はい、そうですが。失礼ですが、どちら様でしょうか。」
「やっぱり翔ちゃんだ。翔ちゃん、声忘れちゃった?」
あっ!と翔子は思った。そう、その声は忘れるはずもない人の声だった。
「由美ちゃんだよね! ひさしぶり! どうしていたの?元気なの?」
連絡もとれなくなってしまった由美の電話に、職場であるにも関わらず、興奮のあまり、声が大きくなってしまった。
「うん、心配かけてごめんね。やっと落ち着いたからさ。携帯もなくしちゃって。でもバタバタしていたから、こっちからもなかなか連絡できなくて。落ち着いてから連絡しようと思っていたら、こんな時間かかっちゃった。そうそう。翔ちゃん今日、すこし時間あるかな?あるなら、翔ちゃんの職場のすぐ隣にあるお店で会いたいんだけど。」
「大丈夫だよ。仕事6時には終わるから、その時間でどうかな?」
「じゃあ、その時間で。翔ちゃん、仕事頑張ってね」
「うん。由美ちゃん、またあとで」
翔子は久しぶりに由美と会える嬉しさもあり、ハイテンションで仕事に取り組んだ。
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