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午後6時。仕事が終わり、翔子は職場となりのお店、コーヒーショップにひと足先についた。大体、10分ぐらい待っただろうか。コーヒーショップのドアが開き、そこへ目をやると由美が入ってきた。
あの日以来、由美と会うので喜びつつも、かすかにではあるが不安はあった。あの日、由美の家庭で良くない出来事、そして由美の父親の様子から、そうならざるをえない事情があったのは察知していた。だからこそ、かすかにではあるが不安はあったのだ。
あのときの由美のままだろうか?悪い意味で、性格が変わっていたりしないだろうか?と。
「翔ちゃん、おひさしぶり!」
「由美ちゃん、おひさしぶり!」
二人は笑顔で答えた。
そして、久しぶりに会ったこともあり、会話がはずんだ。
翔子の予想に反して、由美は変わっていなかった。見た目に関しては、二年前と比べてすこしやつれたような印象を受けた。でも、顔色などはとても良く、二年前のあの日が思い浮かぶ翔子だから、由美をみてやつれたようにみえるだけで、正確には痩せたというほうが正しいかもしれない。ただ、以前の由美と変わらないはずで、会話も途切れることなく、居心地の良さも変わらない。でも、何か分からないが、由美に対して違和感があった。二年ぶりに会ったのだから当たり前、という理由では直感的なもので、何か違和感があったのだ。
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