一章

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 ルビーがムーンを博士と呼ぶ。ムーンは確かな知識を持ち合わせている反面でお伽噺を愛読する。 「夢は持つものだ。私は間違ったことはいっていない」  反抗するムーンは子供じみた表情をちらつかせる。 「そうむきにならなくとも良いでしょ。俺はブレイブの神話を探してきたぜ?」  サルファーが書物を取り出す。傍らのダイアが珍しそうに書物を覗いた。書物は端から見ても年代物だとわかる。表紙が日焼けし、紙も変色しているのが見てとれる。  アメジストが若干、退屈そうにチーズを小間切れにして遊んでいる。アメジストは会合に息抜きに来ているのでブレイブにはさほど関心がないのだ。アメジストを視線の片隅に置いて、キラクはサルファーの言葉に耳を傾ける。
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