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「ブレイブに入って如何する?」
「魔物はお姫様を喰らうのでしょう? 私もお姫様になりたいなって」
「ほう。私には理解できない面白味のある質問ですな。しかしながらダイア殿。お止めになられよ。魔物がブレイブから飛び出したが最後。世界は混乱に陥ります」
「まあ、酷い。私にはお姫様の素質はなくって?」
意地悪く語るムーンにダイアが検討違いの言葉を発する。
「いやいや、そういう話では無くてです。ルビー殿、トパーズ殿なんとかしてくだされ」
ダイアを宥めてムーンが助け船を求める。サルファーとプラチナが笑いを堪えていた。キラクは、グラスを机に置く。先にルビーが、口を開いた。
「ダイア。君がどこぞの王子に惚れていることは皆承知しているけれど、ブレイブの獣に試されるくらいなら、その王子に直接気持ちを伝えた方がいい」
「そうですね。その方が軽快に話が纏まる予感がします」
キラクもルビーに賛同する。
「どうしてそう言うことだけ夢がないのかしら。妖精は信じているのに」
「どんな夢だい?」
ルビーが赤い瞳でダイアを弄る。ダイアが紅潮して言い返した。
「だから、その王子が助けてくれるとかよ! ロマンがあるでしょう!」
「助ける側の王子まで亡くなったりしたら大変だ」
「ルビー様! 私は強い男が好きですの。弱いのはいりませんわ!」
「ダイア、あんまり皆を困らせるなよ」
サルファーが、残りのチーズとパンを食べ終えた。
「困らせていませんわ。単純にブレイブの中が気になるだけですの」
勢いだけで腰を浮かせたダイアが、思い出したように席に戻る。
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