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「そうね――百回記念にブレイブに入れるように考えてみましょうか?」
プラチナが妖しい眼差しを向けた。蝋燭の灯火のせいもある。口許を緩めているように見えた。
「不味いよ。それだけは」
キラクは否定する。
「分かってるわよ。私たちは魔法使いは存在するか。妖精や魔物は実在するかを語り合うだけの会。ブレイブだけじゃないわ。謎は全て明かされないからこそ魅力がある。そうでしょう?」
プラチナ微笑みは礼拝堂の神像に匹敵する。女神とも言える。実際、行動のひとつひとつが洗練されている。キラクでも眼を奪われるほどに彼女は美しかった。
「しかし、ブレイブはともかくも、妖精探しはするのだろう」
ムーンが、パンを千切る。パン屑が机に落ちた。
「ええ。あの声。子守唄。とても魅力的。きっと綺麗な羽根を持つ音の妖精(ラブラドライト)だわ」
「ラブドライト? 石の名前か。音に関係はないと思うのだが?」
パン屑をナプキンに包んだムーンが知識をひけらかす。キラクは耳だけ傾けた。
「音ではなく羽根よ。透き通った色をしているに決まっているわ」
プラチナは口許に手を当て、満足気に微笑む。
石にも色々意味がある。 会合のネーミングはプラチナが全て決めた。
サルファーは黄の眼と髪から。ルビーはそのまま赤を連想させる。
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