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キラクもシフォンケーキを口に運んだ。この奇妙な会合は二時間もあれば終わる。大半がブレイブに纏わる伝説を話し、街や他国で起きている事件を披露するのだ。
「ブレイブ絡みの奇怪な事件が最近多いと思うのよね」
アメジストが最後に呟いた。
「東地区にあるスラムですか。あそこの騒動は頂けません」
キラクは苦笑いを噛み締めた。
三ヶ月前から頻繁に起きている神隠し騒動だ。
姿を消しているのは若い女ばかりで、キラク達自警団も神経を尖らせている。
幸い、アリシャは無関心だった。アリシャの矛先は盗賊潰しに向いている。以前は放火魔を捕まえた。アリシャの功績はキラクから見ても素晴らしいものであった。
「破綻姫は関わらないのかしら」
プラチナが煽るように言った。キラクは知らない振りを通す。
「今は盗賊退治に忙しいとのではありませんか。今日も手柄を上げたそうですよ」
「そうなの。破綻姫の姿は盗賊しか見ることができないというのは残念なことね」
プラチナは指先を絡める。ひとつひとつの仕草が可憐だった。
「あ、そろそろ、俺、帰る」
サルファーが懐中時計を見て言った。
「そんな時間?」
アメジストも懐中時計を見る。
「社交界は今からが本番なの。次の満月までに新しいネタ用意してくるぜ!」
サルファーが布を顔に巻いて出ていった。
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