一章

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「それでだ。俺の姫様をかっさらったあげく。なにしてナニしようとしたやつはどいつでございますか。と俺は、俺なりに丁寧に聞いているわけで。できるなら貴様らの弁解は省いてさくさく状況整理をしたいと考えている」  怯む盗賊に向けられた破綻した笑み。  耳まで掛かるブロンドの髪に着崩れた黒い軍服の合間に見える赤いシャツ。口調とは裏腹の冷めた琥珀の瞳。  青年は右手に掴んだナイフを盗賊の頭らしき人物の左手に突き刺している。  既に失神した盗賊の頭の背後で膝を震わせる何人かの盗賊達が、逃げる気力もなく青年を凝視する。
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