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「お、お前らが巷で噂の盗賊潰し…破綻姫一味か!」
「ご明察!」
クロウが留目の一撃を盗賊の顔面に喰らわせた。盗賊が綺麗な弧を描いて仰け反り、床に叩きつけられた音が激しく鳴った。
「今に部下が着ます。姫はクロウ様とここをお離れください」
キラクが眼鏡を押さえた。最近、ネジが緩いようだ。アリシャはすくっと立ち上がる。打掛の裾が、床に引き摺られる。
「段取り通りやるわよ。ああ、気持ち悪い」
アリシャはクロウの腕に飛び付いた。クロウがアリシャを誘導し、部屋の裏手に出ていく。
嘆息するキラクは、残りの盗賊に向き直った。
なにかをいうつもりはなかった。後から走り込んできた自警団に経緯を話して、キラクも裏口から外に出る。
裏口には馬車が一台用意してある。アリシャとクロウは荷台に盗難品詰め込んでいた。外に出て数分もしていない。盗賊より手慣れていた。
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