一章

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「次は、街道沿いに屯しているという連中ね。クロウ。明日の御予定は?」 「アリシャのとこに泊まれるなら、明日にでも盗賊を狩りに行ける」 「オーケ。部屋に来なさいよ」  アリシャが可愛らしい笑顔を見せて喜んだ。キラクは密かに溜め息を吐く。 「なんだよ。なにが御不満?」  馬車の荷台に腰を落としていたクロウがキラクに視線を投じる。 「あなた様との婚約をなぜ国王がお認めになったのか俺には解りかねます」  キラクはマイペースを貫いた。 「そいつは、永久に謎だが。俺はアリシャを貰うと決めていた。ごたごたもないし、良いじゃないか」  クロウは足を組む。 「ごたごたを表に出してなにになるんですか。と――まず離れましょう。この話題を持ち出すといつになっても帰路につけなくなってしまいます」  キラクはクロウの言葉をのらりくらりと交わしながら馭者席に座る。  ハーキマの森を後にした馬車は、ロープ街を通り、マルテア城へと向かう。  マルテア国の中央には、カバンサイト河が流れている。  マルテア城に向かう馬車からは、雄大な流が見て取れる。
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