第1章

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私の高校は公立で新設されてからまだ数年しか経っておらず、その違いに驚いたのだった。 その校舎に入ると各教室で色んな催しをしていた筈だが、全く覚えていない。 彼を探して一年生の教室があるフロアをうろうろしたのはよく覚えている。 私は探しながら会わずに帰るのは嫌だと思い始めていた。 もちろん彼女の為に。 廊下にいた時、人混みを挟んだ向こう側に彼の姿を見つけた。 彼も私達二人に気が付きこちらへゆっくりと歩いて来た。 彼女が顔を強張らせて 『どうしよう』と一言言ったのを覚えている。 私は近付いて来る彼の方へ歩き出した。
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