第1章

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自慢になるような事を話すのを彼女はいつも嫌っていた。 彼女が進学した高校は県内でも有数の進学校だった。 彼女は成績が良くてもそれを鼻にかけるような事は決してなかった。 『私は全然勉強出来ないから』と真面目な顔で彼女は言った。 私は思う。 それは案外彼女の本音だったのではないかと。 人から褒められるのも彼女は苦手だった。 いつも『そんな事ないよ』と俯きながら言った。 自分が話題の中心になる事を嫌っていた。 小学生の時からずっと。
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