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仁が初めて私を抱いたのは
私が高1。仁が高3の3月。
「俺、まだ経験したことないんだけど。
優奈、抱かせてくんねぇ?」
そうお願いされた時、仁は、春からの進学先も、新居も決まって、
引越しまであと1ヶ月もなかった。
中学、高校の野球部で兄とバッテリーを組んでいた仁に、淡い憧れを抱いていたのはいつからだっけ。
仁の投げるボールは鋭くて、兄の構えるミットに吸い込まれていく。
兄と仲が良くて、いつも家に遊びに来ていた仁が、兄の居ないその日も、家に来て、真剣な表情で私に言ったんだ。
もうすぐ離れてしまう……。
会えなくなるんだ……。
この気持ちは憧れだったのかな、恋だったのかな。
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